介護保険負担限度額認定の申請で「預貯金は本当にバレるのか?」と不安に感じていませんか?
結論から言うと、通帳のコピーの提出や自治体からの問い合わせにより、預貯金はほぼ確実に確認されます。わざと隠すと、あとでバレたときに大きなトラブルになります。
この記事では、預貯金がどこまで調べられるのか、なぜ正確な申告が必要なのかを説明します。申請前に安心できるよう、準備や注意点もわかりやすくまとめました。
この記事を読めば、申請への不安がなくなり、制度を正しく使って、介護費用の負担を減らすきっかけになります。最後まで読んでみてください。
介護保険負担限度額認定とは
介護保険負担限度額認定とは、施設に入所したときの食費や居住費を減らすための制度です。対象になるのは、一定の収入や預貯金の条件を満たす高齢者です。
申請して認定されると「介護保険負担限度額認定証」がもらえます。この認定証を施設に出せば、費用の一部が軽くなります。
どんな人が対象になるのか、どの施設で使えるのかを順番に見ていきましょう。
どんな人が対象になる制度か
この制度の対象になるのは、収入と預貯金が少ない高齢者です。とくに、本人や配偶者が住民税を払っていないことが申請の前提となります。
預貯金には銀行口座のお金やタンス貯金も含まれ、資産が多ければ認定は受けにくくなります。たとえば、年金だけで生活している方でも、貯金が650万円を超えると対象外になることがあるため注意が必要です。

詳しい条件は自治体によって異なるため、窓口で確認してみましょう。
使える施設と軽減される費用
この制度が使えるのは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、ショートステイなどの介護保険施設です。有料老人ホームやグループホームでは使えません。
対象の施設を利用する際、1日あたりの食費と居住費が決まった金額までしかかかりません。たとえば、負担が一番軽い人は食費が1日300円、居住費が880円に抑えられます。

負担の段階は所得や預貯金によってわかれていて、それぞれ上限額が違います。制度を利用するには、事前に申請が必要です。
参考1:浦安市『介護保険負担限度額認定』
参考2:会津若松市『介護保険負担限度額認定申請について』
認定される預貯金の目安
介護保険負担限度額認定では、収入だけでなく預貯金などの資産も審査の対象になります。申請には、本人と配偶者が保有する資産が一定の基準を下回っていることが条件です。
この上限額は、所得や世帯構成によって細かく設定されています。必要な条件を満たしていないと、どれだけ介護費が重くても制度は利用できません。
ここでは、資産基準・段階別の目安・所得との関係について順に解説します。
認定のための資産基準とは
認定を受けるには、資産が上限額以内であることが求められます。
対象になるのは、銀行口座のお金だけではありません。株や投資信託、金・銀といった貴金属、タンス貯金もすべて含まれます。
住宅ローンや借入金がある場合は、残高からその分を差し引いて計算する仕組みです。

申請時には、通帳のコピーや資産の証明書類を提出する必要があります。何が資産として扱われるのか、あらかじめ把握しておきましょう。
預貯金と段階区分の早見表
介護保険負担限度額認定を受けるには、預貯金が基準額以下であることが求められます。「あと数十万円」で認定の可否がわかれるケースもあるため、基準額を正確に把握しておくことが重要です。
とくに第2段階〜第3段階は資産の上限が細かく設定されており、該当するかどうかで食費・居住費の自己負担額が大きく変わります。
以下の表で、ご自身がどの段階に当てはまるのか、所得と預貯金額の両方から確認してみてください。
利用者負担段階 | 所得などの要件(本人および世帯全員が住民税非課税) | 預貯金等の基準額(単身) | 預貯金等の基準額(夫婦) |
第1段階 | 生活保護受給者または老齢福祉年金受給者 | 1,000万円以下 | 2,000万円以下 |
第2段階 | 合計所得金額と課税年金収入・非課税年金収入の合計が年間80万円以下 | 650万円以下 | 1,650万円以下 |
第3段階(1) | 合計所得金額と課税年金収入・非課税年金収入の合計が年間80万円超120万円以下 | 550万円以下 | 1,550万円以下 |
第3段階(2) | 合計所得金額と課税年金収入・非課税年金収入の合計が年間120万円超 | 500万円以下 | 1,500万円以下 |
第4段階 | 上記以外の方(住民税課税世帯の方など) | 支給対象外 | 支給対象外 |
資産は預貯金だけでなく、有価証券や現金、投資信託なども含まれます。基準を超えていた場合、介護費用が大きな負担になる可能性があるため、早めに資産の整理と計画を立てておくことが大切です。

手元の通帳や金融資産をリスト化し、自身の負担段階がどこに該当するのか確認してみましょう。
参考1:北海道森市『負担限度額認定申請(入所に係る食費・居住費の軽減)』
参考2:八街市『介護保険の費用負担について』
所得との組み合わせでどう決まるか
資産だけでなく、所得とのバランスも判断基準に含まれます。認定を受けるには、本人と世帯全体が住民税非課税であることが前提条件です。
そのうえで、年金などの収入と預貯金の両方が、それぞれの段階に設定された基準内であることが必要になります。

たとえば、収入が基準内でも預貯金が多すぎれば認定されません。逆も同じです。両方を満たさない限り、軽減措置の対象にはならない点に注意が必要です。
預貯金が調べられる理由と範囲
介護保険負担限度額認定では、申請者の資産状況を正確に確認する必要があります。公平に制度を運用するため、預貯金や資産の調査が行われる仕組みです。
市区町村は法令に基づき、必要な範囲で情報の確認を進めます。調査対象は、本人や配偶者の口座に限られません。名義が異なる場合でも、実質的に本人の資産と判断されるケースがあります。
ここからは調査の方法や範囲について、具体的に見ていきましょう。
提出する書類と確認される項目
申請時には、資産を証明するための書類を提出する必要があります。通帳の写し、有価証券の残高報告書、金や現金の申告書類などが代表的です。
審査では、金融機関名や口座番号、直近の取引履歴などが確認されます。負債がある場合は、その契約書や残高証明の提出によって、資産額から控除できることもあります。

審査を円滑に進めるためには、必要な情報を整理し、正確に提出することが重要です。
参考:宇都宮市『介護保険負担限度額認定申請』
自治体が口座を確認できるしくみ
市区町村は、介護保険法などに基づいて、金融機関に対して資産の照会を行う権限を持っています。書面による依頼や、近年では電子システムによる情報照会が主流になりつつあります。
照会内容は、残高や取引履歴、名義人の情報などが中心です。自己申告だけでなく第三者による確認も行われるため、制度の公平性が保たれるわけです。

調査は必要最小限にとどめられ、プライバシーにも一定の配慮がなされています。
名義が違っても資産として見なされる場合
名義が本人以外であっても、実質的に管理しているのが本人であれば、その資産として判断されることがあります。これは「名義預金」と呼ばれ、制度の審査においても例外ではありません。
たとえば、夫が妻名義の通帳を管理し、その中に自身の収入を貯めている場合、その口座は夫の資産と見なされる可能性があります。

名義預金と判断された資産は、認定結果に影響を与える可能性があります。不安がある場合は、税理士や地域包括支援センターなどへ相談してみましょう。
預貯金をかくした場合のリスク

預貯金を隠して申請すると、信頼を損ねるだけでなく、重いペナルティを受ける可能性があります。
介護保険のような公的制度は、公平性を保つために正確な情報提供が前提です。虚偽の申告が発覚すれば、行政処分や税務調査、刑事罰に発展することも珍しくありません。
軽い気持ちで隠したことが、人生を大きく左右する問題に発展することもあります。ここでは、発覚した場合の対応やトラブル予防のポイントを紹介します。
虚偽申告とされたときの対応
万が一、虚偽申告と言われてしまった場合、早めの対応が重要です。修正申告や納税を自主的に行えば、処分が軽減されることもあります。
たとえば、税務署から指摘される前に、不足分の税金を納めることで延滞税や加算税が軽くなることがあります。行政機関の調査には誠実に応じ、書類は速やかに提出するのが基本です。

刑事罰のリスクがあるときは、弁護士に相談することが欠かせません。早い段階で専門家と連携すると、事態が悪化するのを防げます。
トラブルを防ぐポイント
預貯金の隠蔽を避けるには、正直な申告が何よりも大切です。とくに相続や贈与に関するお金の動きは、曖昧なままにしておくとトラブルのもとになります。
たとえば、タンス貯金を申告せずにいた結果、税務調査で発覚したケースもあります。金銭のやり取りは通帳や契約書などで記録を残し、必要に応じて贈与契約書を作成するのが望ましいでしょう。

疑問に感じた際は、税理士などの専門家に相談しましょう。
認定が通らなかったときの対応策
介護保険負担限度額認定が通らなかった場合でも、対応できる制度はいくつかあります。不認定の理由を正しく理解し、条件を満たす支援策を探すことが重要です。
場合によっては、制度の見直しや再申請が可能なケースもあります。まずは何が原因で通らなかったのかを把握し、それに応じた行動をとることが求められます。
ここでは、主な不認定の理由と代わりに使える支援策を整理しておきましょう。
よくある不認定の理由
認定が下りない理由の多くは、所得や資産が基準を超えているケースです。
制度は原則として、住民税非課税世帯を対象としているため、世帯員の誰かが課税されていると不認定になります。申請者本人の貯金や配偶者の資産も審査対象です。
たとえば、夫婦での預貯金が基準の1,650万円を上回ると、第2段階の認定は受けられません。

書類の不備や介護保険料の滞納も原因になり得るため、通知書の内容をよく確認しておきましょう。
参考:荒川区『介護保険負担限度額の認定(施設入所時の居住費・食費を軽減する制度)』
他に使える支援制度や軽減措置
不認定となった場合でも、家計を支える手段は残されています。
たとえば「特例減額措置」は、条件を満たせば第4段階でも食費や居住費の軽減を受けられる制度です。
医療費控除や高額介護サービス費、高額療養費なども、申請により還付の対象となります。生活困窮者には、自治体の貸付制度や就労支援の窓口もあります。

それぞれの制度には条件がありますが、早めに相談すれば活用できるものも多くあります。あきらめずに情報を集めることが大切です。
参考:北区『介護保険施設等の食費・居住費負担額の軽減制度』
参考:政府広報オンライン『生活にお困りで一時的に資金が必要な方へ「生活福祉資金貸付制度」があります。』
正しく申告して安心して申請するために
介護保険負担限度額認定を受けるには、資産を正しく申告することが前提です。申請の準備段階でミスや漏れがあると、制度を活用できなかったり、後で修正を求められたりする可能性があります。
そうならないよう、家族と協力しながら資産を整理し、書類を整えておくことが大切です。
不安や疑問がある場合は、専門家や公的な相談窓口を活用しましょう。以下では、その具体的な方法を解説します。
家族でできる資産整理と準備
資産整理は、申請を通りやすくするための重要な準備です。預貯金や有価証券、現金、負債など、すべての財産を洗い出してリスト化すると、申告漏れのリスクを防げます。
たとえば、通帳の取引履歴や証券の残高など、証明できる書類をあらかじめそろえておくと安心です。資産が複雑な場合は、家族と分担して確認するのが効率的です。

誰が何を持っているかを明確にすると、後の相続や介護の計画にも役立ちます。
専門家や相談窓口の活用方法
資産の申告や書類の準備に不安があるときは、専門家に相談するのが確実です。
税理士や司法書士、行政書士は、それぞれの分野で適切なアドバイスを提供してくれます。公的機関では、市区町村の窓口や地域包括支援センター、法テラスなどが相談に応じています。
たとえば、生活に困っている場合には福祉事務所に相談することも可能です。

相談内容に合わせて窓口を選ぶことで、より的確な支援を受けられるようになります。
よくある質問(Q&A)
介護保険負担限度額認定に関する疑問は多くの方が抱えています。とくに預貯金の調査範囲や、特養入所への影響、通帳の提出義務などは、不安や誤解につながりやすいポイントです。
ここでは、よくある質問を取り上げて、制度の仕組みと正しい対応方法をわかりやすく解説します。申請前に内容を把握しておくことで、安心して手続きを進められます。
介護保険負担限度額認定の預貯金はどこまで調べる?
調査の対象は、申請者本人とその配偶者が保有するすべての預貯金です。普通預金、定期預金、有価証券、現金、投資信託などが含まれます。
申告時には通帳のコピーなどを提出し、記載された残高や入出金の履歴が確認されます。金融機関への照会権限も自治体にあり、申告していない口座が発覚する可能性もあります。

名義が違っていても、実際の管理者が申請者であれば資産とみなされる場合があるため注意が必要です。
貯金があると特養に入れませんか?
特養の入所において、貯金額は直接の判断基準にはなりません。基本的には要介護3以上など、介護度と緊急性が優先されます。
ただし、預貯金が多いと食費や居住費の軽減制度が使えない場合があり、結果的に自己負担額が高くなることがあります。
たとえば、単身で預貯金が500万円を超えると第4段階に区分され、軽減措置を受けられなくなる可能性があります。

制度と費用の関係を事前に確認することが大切ですね。
預貯金審査に通帳のコピーは必要ですか?
通帳のコピーは原則として提出が必要です。全ての口座について、金融機関名、支店名、口座番号、名義人、最近の取引履歴、最終残高が確認できるページをそろえましょう。
ネットバンクを利用している場合は、残高が確認できる画面を印刷して提出することになります。通帳に記帳されていない場合は、記帳を済ませた上でコピーを用意してください。

虚偽申告は発覚するリスクがあり、厳しいペナルティの対象になります。
【まとめ】介護保険負担限度額認定で預貯金はバレるのか解説しました
介護保険負担限度額認定では、預貯金の申告が必要であり、通帳のコピー提出や金融機関への照会により、事実上「隠すことはできない」と考えるべきです。
虚偽申告には厳しいペナルティがあるため、正直な申請が何よりの対策となります。
申請前に家族で資産を整理し、必要書類をそろえることで、安心して手続きが進められます。
今すぐ手元の通帳を見直し、資産の一覧を作成してみましょう。それが、将来の不安を減らし、介護費用を軽減できる第一歩になります。