特養に入所する際、資産が500万以上あると費用が高くなるんだって……
なんとかならないかしら?
資産額が500万以上だと介護保険の負担が高くなる可能性がありますが、適切な対処法を用いれば負担は軽減できます。
しかし、特別な事情がある場合は別として、高い費用を払って特養に入るメリットは少ないでしょう。
なぜなら有料老人ホームのほうが施設数も多く、提供しているサービスも多様化しているため、希望の介護が受けられる施設が見つかりやすいからです。
本記事では、特養入所時の資産調査から介護保険の負担限度額の計算方法、そして貯金額が500万円以上、1000万円以上の場合の具体的な影響について、わかりやすく解説します。
これらの知識を身につけて、老後の生活を安心して計画するための一助としましょう。
特養入所時に資産500万以上に引っかかる時の対処法
特養入所時に資産500万円以上に引っかかると、費用負担が高くなる可能性があります。
以下では資産500万円以上に引っかかる理由、負担軽減のための対処法について解説します。
資産500万以上に引っかかると費用負担が高くなる?
特養入所時に資産500万以上に引っかかると、費用負担が高くなります。
特養に入所する際、資産が500万円以上あると、居住費や食費などが補助給付から外れるためです。
資産に該当するものは主に預貯金や換価の価値を持つものを指し、不動産や車や貴金属なども資産に含まれます。
価値が高いものが複数ある場合は、軽減措置を受けることができない可能性があります。
資産500万円以上に引っかかる理由とは
資産500万円以上に引っかかる理由とは、介護保険制度では低所得者に対して軽減措置が用意されているためです。
この軽減措置は、特別養護老人ホームなどの介護保険施設の入居者のみが利用できます。
具体的には、資産500万円以上を保有している場合『第3段階』に該当します。
つまり、資産が500万円以上の場合、費用負担割合が上がってしまうため、入所費用などが高くなってしまうわけです。
参考:厚生労働省『介護保険施設における 負担限度額が変わります』
負担軽減のための対処法
介護保険制度では、利用者の資産額によって負担割合が決まります。
資産が多い場合は高額な負担を課せられるため、負担軽減のためには資産の管理が必要です。
具体的には、以下の方法があります。
- 生命保険の見直し:生命保険契約を見直すことで、貯蓄や投資による資産運用よりも税制面や手数料面で有利になる場合があります。
- 不動産の売却:不動産を所有している場合は、売却することで資産を減らすことができます。ただし、相場が上がっている場合や相続税の問題がある場合などは注意が必要です。
- 適切な資産管理:資産運用を行う場合は、金融商品に詳しくない人でも理解しやすい公的な制度に投資することが望ましいです。
これらの対処法は、介護負担を減らすだけでなく、資産の適切な管理にも役立ちます。
ただし、介護負担がかかる前に計画的に対処することが大切です。
介護保険と預貯金調査の関係
介護保険の利用に際して、預貯金の調査が行われます。
以下では介護保険の利用と預貯金の関連性について解説していきます。
介護保険の利用と預貯金の関連性
特別養護老人ホームに入所する際には、介護保険を利用するために資産調査が必要です。
この資産調査には、預貯金も含まれます。
介護保険では一定の金額を超える資産を持っている場合、負担する費用が増えるため、預貯金の額によって介護保険の負担額が変わります。
つまり、預貯金の額が多いほど介護保険の負担が大きくなるのです。
そのため、特別養護老人ホームに入る前には、預貯金を適切に管理することが必要です。
特養入所時の資産調査とは?
特養入所に申し込む際には、資産調査が行われます。
以下では、特養入所時の資産調査の目的、対象となる項目を解説します。
特養入所時の資産調査の目的
特養入所時の資産調査の目的は、入所者やその家族の負担を適切に評価するために行われます。
入所者の費用負担は、介護保険の1割から3割までの範囲内で設定され、負担の割合は収入や資産額に応じて変動します。
資産調査では、入所者やその家族が所有する財産や預貯金の総額を評価し、負担額の決定に影響するとされる資産額を算出します。
資産調査の対象となる項目
特養入所時に行われる資産調査では、以下の項目が対象となります。
- 預貯金や有価証券などの金融資産
- 不動産、土地、建物などの不動産資産
- 車や宝石、美術品などの貴金属資産
- 生命保険などの保険資産
- 借入金、借金などの負債
特に、預貯金や有価証券、不動産などの金銭的な価値が高い資産が調査されます。
また、不動産は評価額で計算されるため、適正評価をする必要があります。
介護保険の負担限度額と預貯金調査のつながり
介護保険の負担限度額は、介護サービス利用にかかる費用の一部を自己負担する額の上限です。
預貯金調査の結果によって負担限度額が変わることがあるため、誤解なく理解することが大切です。
本章では、介護保険負担限度額と預貯金調査の関係について詳しく解説します。
負担限度額と預貯金の影響を理解する
介護保険の負担限度額は収入や資産に応じて段階的に設定されており、資産が多い場合は負担額が高くなります。
預貯金が多い場合、負担限度額を超える可能性があるため、適切な財産管理が必要です。
貯金額を分散することや保険商品の活用などで負担限度額の影響を抑えることができます。
介護保険負担の上昇に注意し、財産管理を適切に行い、費用負担を軽減することが大切です。
介護保険の段階別負担限度額について
介護保険の段階別負担限度額とは、介護保険サービスを利用する際に、利用者が負担する金額の上限を決める制度です。
この制度は、利用者の所得や世帯構成に応じて、第1から第4段階まで分けられます。
段階 | 所得状況 | 資産状況 | 居住費 負担限度額(円/日) | 食費 負担限度額(円/日) |
---|---|---|---|---|
第1段階 | ・世帯全員が住民税非課税で老齢福祉年金受給者の人 ・生活保護を受給されている人 | 単身:1,000万円以下 夫婦:2,000万円以下 | 820 | 300 |
第2段階 | ・世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額80万円以下の人 | 単身:650万円以下 夫婦:1,650万円以下 | 820 | 390 |
第3段階(1) | ・世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額80万円を超え120万円以下の人 | 単身:550万円以下 夫婦:1,550万円以下 | 1,310 | 650 |
第3段階(2) | ・世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額120万円を超える人 | 単身:500万円以下 夫婦:1,500万円以下 | 1,310 | 1,360 |
第4段階 | 上記以外の人(※4) | 2,006 | 1,445 |
このように、介護保険の段階別負担限度額制度は、利用者の経済的負担を軽減するためのものです。
特養に入所するとき|持ち家の取り扱い
特養入所時に持ち家を所有している場合、どのように取り扱うべきかについて解説します。
入所時に持ち家がある場合でも、一定の条件を満たせば売却しなくてもよくなる場合があります。
また、売却する場合にも利用できる制度がありますので、選択肢を明確にしておくことが大切です。
特養入所時に持ち家があるとどうなる?
特養入所時に持ち家があると、その評価額が資産になります。
つまり、評価額が500万円以上になる場合は、資産500万円以上に引っかかることになります。
そのため、入所者や家族は、持ち家の評価額を抑えるために、評価の方法や方法を知る必要があります。
持ち家を売却して資産を減らすことも一つの方法ですが、売却価格が思ったほど高くならない可能性があるため、必ずしも最善策ではありません。
持ち家を利用した方法としては、家族や親族に売却せずに贈与する方法があります。
また、親族に居住権を譲渡する方法もあります。
ただし、このような方法を取る場合は、税制上の問題があるため、専門家に相談する必要があります。
持ち家を活用する方法
持ち家を所有している場合、特養入所時にはその価値が資産としてカウントされます。
しかし、持ち家を活用する方法によって、負担を軽減することができます。
- 【貸し出しによる収入】持ち家を貸し出すことで、収入を得ることができます。この収入は、介護費用の一部に充てることができます。
- 【売却】持ち家を売却した場合、得た資金は一時所得として認められます。この場合、資産の額が下がるため、介護費用の負担も軽減されます。
- 【相続人に譲る】持ち家を相続人に譲ることで、その価値がカウントされなくなります。この場合、相続人がその持ち家を売却することで得た資金は、贈与税や相続税がかかる可能性がありますが、介護費用の負担軽減につながる場合もあります。
以上のように、持ち家を活用する方法によって、特養入所時の資産調査で引っかかる可能性がある方でも、介護費用の負担を軽減することができます。
ただし、それぞれの方法にはメリット・デメリットがありますので、よく検討して判断する必要があります。
特養入所時に資産500万以上に引っかかる時の対処法【まとめ】
では、今回のまとめです。
特養入所時に資産が500万円以上あると、介護保険の費用負担が高くなる可能性があります。
しかし、適切な対処法を用いれば、この負担を軽減することが可能です。
また、特養に入所する際は、持ち家の取り扱いにも注意が必要です。
ただし、資産が500万円以上ある場合、高い費用を払ってまで特養に入所するメリットは少ないかもしれません。
施設ごとに細かいサービスの違いがある有料老人ホームなら、希望の介護サービスが受けられる施設が見つかる可能性が高いからです。
今回紹介した情報を参考に、あなたに適した施設で老後の生活を安心して過ごしましょう。
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