親の介護を施設に任せてもいいのかな
親の介護を施設に任せると、多くのメリットを感じることができます。
しかし、当然デメリットも存在するため、親の介護を施設に任せるときには十分に検討しなければなりません。
慎重に入所を検討すれば、親を施設に入れたことを後悔したり、葛藤を感じたりといった悩みも軽減されるでしょう。
今回は『親の介護を施設に任せるメリット・デメリット』『親を施設に入れたことを後悔しないために』『親を施設に入れるときの葛藤|ケース別対処法』といった内容で解説していきます。
この記事を読めば、親を施設に入れるかどうか適切な判断ができるようになり、介護による負担に悩むこともなくなるでしょう。
施設での介護のメリット
介護が必要な親を施設に入所させるメリットには、以下のような点があります。
- 介護負担が軽減できる
- 安心・安全な生活を送れる
- 専門的な介護が受けられる
それぞれ詳しく解説していきましょう。
介護負担が軽減できる
親の介護を自宅でする場合、常に介護に時間やエネルギーを費やさなければなりません。
しかし、介護施設に入れることで、その介護負担を軽減することができます。
介護施設には、医療スタッフや専門の介護スタッフが常駐しており、食事、入浴、排泄、就寝などの基本的な生活面から、薬の管理や緊急時の看護などの医療面まで、あらゆる介護に対応してくれます。
また、介護に関する知識や技術を持ったプロが揃っているため、万が一の急病や事故に対応できる体制が整っています。
施設入所によって、親の介護負担をかなり軽減できるため、家族の生活もより穏やかになるでしょう。
安心・安全な生活を送れる
介護が必要になる高齢期になると、身体的な制限や認知症などさまざまな問題が生じることがあります。
このような問題を抱える場合、自宅での生活は不安定で危険なことがあるかもしれません。
しかし、介護施設に入所することで、利用者は安心して生活を送ることができます。
施設のスタッフが24時間対応してくれるため、利用者が何かトラブルに巻き込まれた場合でも、素早い対応が可能です。
また、施設内には医療スタッフもいるため、緊急の医療問題が発生した場合でも適切なケアを受けることができます。
このように安心できる環境での生活は、利用者にとって大きなメリットとなるでしょう。
専門的な介護が受けられる
施設には介護に関する専門的な知識や技術を持ったスタッフが常駐しているため、適切な介護を受けられるのもメリットの一つです。
例えば、医師や看護師による健康管理や急な病気や怪我への対応など、家族ができない介護が必要な場合でも、施設内で対応できます。
また、介護スタッフは日々の生活支援にも力を入れており、入浴や食事、排泄などの日常的なケアを提供することで、利用者が快適で健康的な生活を送れるようにサポートします。
施設での介護のデメリット
施設での介護には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。
- 費用負担が大きい
- 家族と離れて暮らすことになる
- 現状把握が難しく不安が残ることがある
以下で、それぞれ詳しく解説していきます。
費用負担が大きい
介護施設でのサービスを利用する場合、高額な費用負担が必要になることがあります。
介護費用は、民間施設での生活の場合、施設の地域や設備、介護レベルによって大きく異なります。
また、公的な介護保険によってサポートされる場合はある程度負担が軽減されますが、それでも高額な支払いをしなければならないことがあります。
例えば、民間の介護施設での生活の場合、入居費用や月額利用料の支払いが必要になります。
また、介護サービスを追加的に利用する場合には、その分の費用も発生することがあります。
そのため、施設での介護を検討する場合には、費用面をしっかりと把握し、家計の見直しや公的な支援の利用などを検討する必要があります。
家族と離れて暮らすことになるデメリット
親を施設に入れる場合、家族と離れて暮らすことになるというデメリットがあります。
特に、親と共に生活していた場合は、別れるということが大きなストレスとなるかもしれません。
しかし、このデメリットには対処法があります。
例えば、定期的に面会して、親の様子を確かめましょう。
面会が難しいなら、手紙や電話などでも親とのコミュニケーションを図れます。
また、施設での生活は、親にとって新しい友人ができる環境です。
自宅での暮らしに比べ、社交的な交流が増える可能性もあり、さほど心配は必要ないかもしれません。
現状把握が難しく不安が残ることがある
施設に預けると、日常の様子や健康状態を知ることが難しくなる場合があります。
親の状態に合わせて施設によっては週に一度医師による診察があったり、定期的にメンタルヘルスのチェックがあるところもありますが、それでも家族と過ごす時間が限られたものになってしまいます。
このような場合、施設のスタッフと積極的にコミュニケーションをとることが大切です。
訪問時間帯を調整して自分自身で状態を確認し、スタッフとの打ち合わせをすることで、親の状態を把握しやすくなります。
また、施設によっては日報を提出することもありますので、それを参考にすることもできます。
定期的な面会を忘れずに行い、家族との関わりを持つことも大切です。
親を施設に入れたことを後悔しないために
親を施設に入れる決断は、家族にとって重要なものであり、後悔しないためには十分な検討が必要です。
以下は、具体的な対処法です。
- 事前に施設の情報をしっかりと集める:施設の設備やサービス内容、費用、入居条件などを確認し、複数の施設を比較検討しましょう。
- 親の生活スタイルや性格に合わせた施設を選ぶ:親の好みや習慣、コミュニケーションの取り方などを考慮して、最適な施設を選びましょう。
- 家族としての関わりを大切にする:施設に入れたからといって、家族のつながりを失わないように、定期的な訪問やコミュニケーションを維持しましょう。
また、施設での生活を楽しめるよう、イベントや行事にも積極的に参加していくことが大切です。
以下で詳しく解説していきます。
事前に施設の情報をしっかりと集める
親を施設に入れる場合、まずは事前に施設情報を集めることが重要です。
施設の評判や設備、介護サービス内容、食事やレクリエーションなど、多岐にわたる情報を収集することで、将来的に親が施設で過ごすことになった場合、どのような環境やサービスが提供されるのかイメージすることができます。
施設情報の収集は、インターネットやパンフレットの閲覧だけでなく、施設見学や職員との面談も含めて実施することが望ましいです。
その際、自分が抱えている悩みや要望をしっかりと伝えることで、施設運営者とのコミュニケーションを図り、安心できる施設を選ぶことができます。
親の生活スタイルや性格に合わせた施設を選ぶ
親を施設に入れる場合、その親の生活スタイルや性格に合わせた施設を選ぶことが重要です。
例えば、自立した生活を送りたいと思っている場合は、自立支援型の施設を選ぶとよいでしょう。
また、社交的であれば人との交流が多い施設を選ぶことも大切です。
逆に、引っ込み思案だったり、安静が必要な場合は、落ち着いた環境が保たれている施設を選ぶことが望ましいです。
親にとってストレスのない環境を選ぶことで、より快適な生活を送ることができるため、家族として親の希望や性格に合わせた施設選びを心がけましょう。
家族としての関わりを大切にする
施設での介護には専門的なスタッフがいるため、家族の介入が少なくなることがあります。
しかし、家族としての関わりを大切にすることは、親の生活を豊かにし、精神的な安定につながります。
例えば、定期的に訪問することで、親とのコミュニケーションをとったり、施設内での様子を把握することができます。
また、施設での介護によって負担が軽減されることで、家族も介護から解放され、自分自身の時間を確保できるようになります。
この時間を利用して、趣味を楽しんだり、遠出をしてリフレッシュすることも大切です。
ただし、家族としての関わりを大切にすることは、施設のルールやスタッフのサポートに配慮する必要もあります。
また、家族の介入が施設の運営に支障をきたすことがあるため、事前に施設とのコミュニケーションを取り、訪問の頻度や方法などを相談することが重要です。
親を施設に入れるときの葛藤|ケース別対処法
親を施設に入れるという決断には、家族間での葛藤や後悔などの感情が伴うことがあります。
ここでは、親を施設に入れるときの葛藤について、ケース別の対処法を紹介します。
- ケース1:親が施設入所を拒否する場合
- ケース2:家族間で意見が分かれる場合
- ケース3:自己責任感からくる罪悪感で悩む場合
以下で、それぞれのケースを詳しく解説していきます。
ケース1:親が施設入所を拒否する場合
親が施設入所を拒否する場合、家族としては葛藤やストレスを感じることがあるでしょう。
しかし、そんな時こそ親の言葉をしっかりと聞いてあげましょう。
親が施設入所を拒否する主な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 家族と離れたくないという気持ち
- 施設が自分に合わないと考える
- 費用負担が心配である
親にとって入所が嫌な理由を聞いて、その理由に対する対処法を一緒に考えましょう。
また、親が施設入所を拒否しつつも、介護負担が大きくなるという場合は、日帰り介護サービスなど、家族が手厚くサポートすることも考えましょう。
親の意志を尊重しつつ、ベストな解決方法を一緒に考え、家族一丸となって対処することが大切です。
ケース2:家族間で意見が分かれる場合
親を施設に入れるかどうかで家族間で意見が分かれてしまった場合、まずは話し合いをすることが大切です。
親の状況や介護の負担、施設のメリット・デメリットなどをしっかりと共有し、意見を出し合いましょう。
もし意見がまとまらない場合は、第三者の意見を聞くことを検討してみても良いでしょう。
介護相談員や社会福祉士、弁護士など、専門家の意見を聞くことで家族間の意見調整ができる場合があります。
ただし、最終的な決定は家族で行うべきです。
施設に入所することは、親本人にとっても大きな決断です。
家族が一致団結して決定することで、親も安心して受け入れることができます。
ケース3:自己責任感からくる罪悪感で悩む場合
自己責任感からくる罪悪感は、多くの人が抱える問題です。
親を施設に入れたことで、「ちゃんと私が面倒を見るべきだった」「もっと時間を作ればよかった」といった後悔や葛藤が生じることがあります。
このような場合には、まず自分自身が自分を責め過ぎていないかを見直すことが大切です。
介護に限らず人生にはいろいろな選択肢があり、完璧な選択肢はありません。
自分ができる限りの選択をしたということを自分自身で納得することも必要です。
また、施設に入っても家族とのコミュニケーションや関わりを続けることで、親も安心感を持ち、家族とのつながりを保てることができます。
さらに、施設からは定期的に報告や連絡があることが多いため、その情報をしっかりと把握し、親の状態を把握することも大切です。
心配事や不安なことがあれば、施設のスタッフに相談することもできます。
自分自身が納得し、周囲の方々とコミュニケーションをとりながら、親の介護を受け入れることが大切です。
親の介護を施設に任せるとき|よくある質問
親の介護を施設に任せる際に、以下の3つの疑問がよく見受けられます。
- 施設費用はどのくらいかかるの?
- 親の意思に反して施設に入所させることはできますか?
- 施設に入所した後、自宅へ戻ることはできますか?
以下で、それぞれについて回答していきます。
施設費用はどのくらいかかる?
まず前提として、入所にかかる費用は施設によって異なります。
また、介護度によっても費用が変化するため、人によって大きく異なる点には注意が必要です。
安くても数万円、高ければ数百万というケースもあります。
一般的に、施設に入所するために必要な費用は、初期費用と月額費用に分かれます。
初期費用としては、入居金や建て替え費用、生活用品を揃える費用などがあります。
月々の費用としては、食費や介護費用、生活費用などがあります。
事前に施設の情報をしっかりと調べ、費用面についてもよく確認しておくことが大切です。
さらに、補助制度や社会福祉サービスがあるかどうかも確認しておくと、費用負担を軽くすることができるかもしれません。
親の意思に反して施設に入所させることはできますか?
親の意思に反して施設に入所させることはできません。
介護には家族関係や思い入れなど、さまざまな感情が絡んでくるため、親を施設に入れることに家族間で意見が分かれることがあります。
しかし、家族の意思とは別に、親本人が入所を希望しない場合、入所を強制することはできません。
ただし、認知症や病状により本人による判断が難しい場合には、家族の同意のもと、施設へ入所できることがあります。
しかし、親を施設に入所させる場合は、家族間で話し合いを重ね、慎重に判断することが必要です。
家族全員が納得したうえで入所することが望ましいです。
施設に入所した後、自宅へ戻ることはできますか?
施設に入所した後、自宅へ戻ることは可能です。
入所契約の期間や内容によっては、一時的に施設を外出することも可能です。
ただし、自宅での生活には十分なサポートが必要となるため、事前に家族や施設のスタッフと相談することが大切です。
また、自宅に戻ってからは、必要なケアやサポートがしっかりと受けられるように計画的に行動することが必要です。
具体的な例としては、リハビリや回復期のために施設に一時入所した場合、自宅でも引き続きリハビリを受ける準備が必要です。
また、認知症や身体障害を持っている場合、自宅でも専門的なケアが必要な場合があります。
自宅で介護を続けるためには、どんなサービスが必要なのか、費用はいくらかかるのか、家族で対応ができるかなど、慎重に検討しましょう。
親の介護を施設に任せるメリット・デメリット【まとめ】
親の介護を施設に任せることには、メリットとデメリットがあります。
メリットとしては、介護負担が軽減され、安心・安全な生活を送れることや専門的な介護を受けられることが挙げられます。
一方、デメリットとしては、費用負担が大きいこと、家族と離れて暮らすことや現状把握が難しく不安が残ることなどがあります。
親を施設に入れる場合には、事前に施設の情報をしっかりと集め、親の生活スタイルや性格に合わせた施設を選ぶことが大切です。
親を施設に入れるときには、葛藤や後悔を感じることもあるかもしれません。
それぞれのケースに合わせた対処法を選ぶことが大切です。
親の介護を施設に任せるか否かは、慎重に判断する必要があります。
メリット・デメリットをよく理解し、ケースに合わせた対処法を選ぶことが、後悔や葛藤を避けるために重要です。
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