介護職に向いている人のたった1つの特徴とは?

かつて、ホリエモンこと堀江貴文さんが「基本的に介護は誰でもできる仕事」と発言して物議を醸したことがありました。(参考:みんなの介護

賛否両論はありますが、現場を7年間見てきた立場から言わせてもらうと、介護は誰でもできる仕事ではないです。

介護に向かない人は確実にいます。

介護士として施設に勤めて7年経ちますが、入職して3ヶ月以内、早ければ数日で辞めてしまう人も見てきました。

そんな早期退職する人のほとんどは、僕を含めた経験者たちが、かなり早い段階で「介護職に向いていない」と感じた人達でした。

つまり、早期退職する人には、ある共通点があるんです。

介護に向かない人の特徴は、一言で表すと「常識がない人」です。

今回は、『常識とはなにか?』といった部分から『介護職に求められること』『介護職に常識が求められる理由』についてお伝えしていきますので、介護のお仕事でお悩みの方は是非参考にしてくださいね。

目次

介護職に求められることは5つ

介護職に求められることは以下の5つが挙げられます。

  • 介護の『基礎知識』を有していること
  • 『いつもと違う』に気付けること
  • 『あぶないかも』と思えること
  • 『人の顔色』が読めること
  • 『一般常識』があること

これら5つがあれば、ほとんどの場合、介護職は務まります。

介護に関する基礎知識

介護の基礎知識=初任者研修という認識で問題ありません。

初任者研修は介護職として働いていくための必要最低限の内容を学ぶ研修です。

介護の考え方や介護保険の仕組みといった知識はもちろん、おむつ交換やシーツ交換、食事介助といった介護技術も覚えられます。

一応、資格手当がつくので『資格』ではありますが、初任者研修が取れなかったという人は、いまだかつて見たことがありません。

つまり、初任者研修という学習さえすれば、今から誰でも身につけることができます。

『いつもと違う』に気付ける観察力

初任者研修を修了して必要な知識を身につけたら、次は覚えたことを実践して経験を積むことになります。

施設に入職すると、まずはコミュニケーションから始めて慣れていくことが多いはずです。

コミュニケーションは、ただお話をするだけではなく、体調の変化を把握するという意味も持っています。

そこで、大切になってくるのが『観察力』

観察力とは五感を駆使して、利用者の変化に気付くことです。

対象がいないと、そもそも観察もできないので、介護職として日々利用者と関わっていく中で違和感に気付くという感覚は自然に身についていきます。

難しそうですが、友達や家族に対して「あれ?顔色悪くない?大丈夫?」と声をかけたことがある人なら誰でもできることです。

これから数稽古さえこなしていけば身につけることができる能力です。

『あぶないかも』と思える危機管理能力

リスクマネジメントも初任者研修で学びます。

利用者がケガや病気をしないように注意を払うことも介護職として必要な能力です。

利用者の状態や環境など、複雑な条件が絡み合っていることが多いので、最初から100点満点の答えを出すのは難しく、新入職員が事故を起こしやすい原因のひとつです。

しかし、リスクマネジメントもまた、一朝一夕で身につくものではありません。

観察同様、たくさん場数を踏んで経験値を増やしていくことが遠回りのようで一番の近道です。

利用者がケガをしないように、先輩職員やリーダーなどが、どう考えて、どんな対策をするのかを見ていけば、おのずと身についていくでしょう。

『人の顔色』が読めるコミュニケーション能力

介護は対人支援業務なので、コミュニケーション能力が必須です。

明るく元気に人と話せる活発なイメージの介護職員ですが、面白いもので案外人見知りも多いんですよね。

人にはそれぞれ得意不得意があるし、性格もあるので無理に大きな声で元気アピールする必要はありません。

穏やかに落ち着いて話しかけられるのが好きな利用者もいます。

人を相手にする仕事だからこそ、適材適所で利用者と関わることが大切ですね。

コミュニケーションには『言語コミュニケーション』と『非言語コミュニケーション』があります。

人見知りは『言語コミュニケーション』が苦手ですが、むしろ介護職に求めれられるのは『非言語コミュニケーション』のほうです。

言葉では表せない利用者の抱えている思いを、表情やしぐさなどから読み取ることが大切です。

コミュニケーション能力とは、たくさんお話ができるという能力ではありません。

人と関わりたいと思い、介護という仕事を選ぶということは、コミュニケーション能力をすでに有していると言っても過言ではありません。

一般常識

この常識というやつが一番やっかいです。

常識というものは、人生という長い年月をかけて身につけるもの。

長い人生を生き抜いてきた利用者は、いわば『常識の権化』です。

そんな『常識の権化』を相手にしなければならない我々介護士もまた、常識を身につけていなければ立ち向かうことができません。

もし、現段階で常識がないのであれば、これから何年もかけて常識を身につけていくことになります。

これまでの4つの『介護職に求められること』は、すべて現在から未来にかけて習得できるものばかりなのに対し、常識というのは過去で身につけるものといえます。

今からの努力でなんとかならないからこそ、常識がない人は介護には向かない人なんです。

常識ってなんだ?

さっきから、常識常識と言っていますが、そもそも常識って何なんでしょう?

あまり過剰に常識を振りかざすのは個人的に好きではありませんが、こと介護においては常識は重要なものなので一度整理しておきましょう。

こんなアインシュタインの名言があります。

常識とは、18歳までにあなたの精神の底に沈殿した偏見の堆積にすぎない — アルバート・アインシュタイン、E・T・ベル『数学は科学の女王にして奴隷』 (引用:Wikipedia

んー・・・まだ、ぼんやりしているので、わかりやすく実例を挙げていくことにしましょう。

実際にいた常識のない介護職員

実際に僕が介護現場で見たことのある、常識のないと感じた行為の例をいくつかご紹介します。

  1. コーヒー準備中のコップ全てに麦茶を入れる
  2. 床に落ちた食べ物を食器に戻す
  3. 挨拶ができない
  4. 薬の管理が雑
  5. 食事介助の手を止めてテレビに夢中

介護現場においても常識は特別なものではありません。

ご覧のように「普通はやらないよね?」といったことばかりです。

しかし、嘘のような話ですが、普通はやらないことを平気でやってしまう人は実在します。

もちろん、そんな人はすぐに退職していくことになるのですが・・・

常識のない行動は職員同士の不信感を招くだけでなく、なによりも利用者に多大な迷惑がかかります。

ヘタをすれば常識はずれの行動が命に関わることにもなりかねません。

常識がないって怖いですね。

なぜ常識がないと介護に向かないのか?

もう一度おさらいです。

常識とは 常識は、社会を構成する上で当たり前のものとなっている、社会的な価値観、知識、判断力のこと。また、客観的に見て当たり前と思われる行為、その他物事のこと。 (引用:Wikipedia

介護における常識とは、上記の定義での『社会的な』という文言を『利用者の』と置き換えてみるとわかりやすいのではないでしょうか。

例えば、認知症の利用者に我々の常識を振りかざしても、まったく意味がありません。

介護の現場では、利用者の価値観や知識、判断力を理解して、利用者の『常識』に準ずる対応が求められることも少なくないです。

利用者の常識を理解するためにも、我々が常識について理解しておく必要があります。

そして、常識を身につけられるのは若い頃。

今から、どうこうできる問題じゃないんですね。

もし、今まで生きてきた中で「あなた、常識がないね」と言われたことがあるなら、間違いなく介護は向いていません。

時間の無駄になるまえに、方向転換して別の仕事を探すことをおすすめします。

しかし、常識がないといわれたことがなければ、介護の仕事はできます。

もし、今あなたが「介護職向いていないのかな?」と悩んでいる理由が、おむつ交換がヘタだとか、トランスやシーツ交換がうまくできないといった介護技術に関することだとしたら、それほど気に病むことはありませんよ。

今、偉そうにしている先輩職員やリーダーたちも、最初はみんな介護技術がヘタでした。

なぜできないのか?どうやったら効率よくできるようになるのか?と考えて、周りのみんなに教えてもらいながら、ひとつずつ問題をクリアしていきましょう。

介護の仕事は常識さえあれば、なんとかなりますから。

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