【今すぐ使える】介護職におすすめしたいストレス対策

ほとんどの人が『介護職はストレスが多い職業』というイメージを持っています。

そして、そのイメージどおり、介護職はストレスが多いのも事実です。

今、介護の仕事をしていてストレスに悩んでいる人も多いでしょう。

でも、ストレス対策って何をしたらいいのか、イマイチわかりづらいですよね。

しかし、ストレス対策がわからないからとあきらめて、何も対策しないといつか確実にメンタルをやられます。

かくいう僕も、仕事とプライベートのストレスが重なり『食えない、眠れない』という状態になったことがあります。

受診の結果『適応障害』と診断され、ドクターストップにより半年間の休職を余儀なくされました。

介護職として働いていくためには、何かしらのストレス対策が必要不可欠です。

そこで今回の記事では、介護職におけるストレスの原因や、現役介護福祉士の僕が実践しているストレス対策について解説していきます。

ぼんやりした精神論ではなく科学的根拠がある方法です。

簡単にできるので、ストレスにお悩みの方は是非参考にしてみてください。

目次

介護職におけるストレスの原因

敵を倒すためには、まずは敵を知ることから始めましょう。

介護職におけるストレスの原因を知っておけば、避けられるストレスはサッと避けられるので、余計なことで悩まなくても済みます。

介護職の主なストレスの原因は、職員同士、利用者、施設の3つです。

それでは一つずつ、詳しく解説します。

職員同士のストレス

施設ではもちろん、他の職員とチームで仕事をします。

複数人が集まる以上、どうしてもウマが合わない人も必ずいます。

自分に対する陰口や愚痴が耳に入ってくることもあるでしょう。

他人の粗探しばっかりする職員や、動かないくせに口ばっかり達者な職員がいたり、自分のことしか考えない上司がいたりと、ストレスの原因はゴロゴロ転がっています。

特に介護という仕事は、介護の理想や価値観の違いがあるせいで、人間関係のトラブルが多い傾向があります。

しかし、考えてみてください。

そもそも、全ての人とうまくやれるわけがないんです。

262の法則によると、本当に仲良くできる人は全体の2割しかいないといわれています。

そして、6割の人は毒にも薬にもならない人、残りの2割の人はどうしても合わない人ということになります。

262の法則とは:
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見したパレートの法則80:20の法則から派生した法則で、働きアリの法則とも呼ばれています。よく働くアリ、時々サボるアリ、ずっとサボっているアリの割合が2:6:2になるという法則で、人間の組織に置き換えた考え方としても広く知られています。
参考:Wikipedia

ユニット型の特養では、2ユニット10人前後の職員がチームとして動いています。

262の法則によると、どうしても合わないのは2人しかいないんです。

たった2人の人に振り回されるのは馬鹿らしいですよね。

合わない人は合わない、すべての人に好かれる必要はないと割り切って仕事をしたほうがストレスにもなりません。

利用者に関わるストレス

利用者に関わるうえで、主に介護者としてのストレスになるのは、やはり認知症の対応でしょう。

特に未経験だったり、経験が浅かったりすると、認知症のBPSDの対応でストレスに感じることもあります。

例えば、夜間の徘徊や弄便などは、認知症を正しく理解していないと、ただの問題行動としてとらえがちです。

認知症の対応については、別に詳しくまとめた記事がありますので参考にしてください。

認知症の正しい知識と経験があれば、ある程度のことはストレスに感じなくて済むようになります。

しかし、ときには利用者に噛みつかれたり引っかかれたり、暴言を吐かれることも少なくありません。

介護職は神や仏ではないので、暴力や暴言を受ければストレスに感じてしまうのも当然です。

また、利用者や家族からのセクハラが原因でストレスになる場合もあります。

セクハラは「相手が認知症だから」「介護職だから」という理由で、我慢すればいい問題ではありません。

認知症の対応も、利用者の暴力や暴言も、セクハラ問題も、全てに言えることは一人で対応しようとしないことです。

おそらく、これらの問題というのは他の職員も同じように困っている問題です。

リーダーや上司に相談したり、ユニットで会議を開くなどしてチームで対応しましょう。

施設に対するストレス

施設を経営する事業者もさまざまです。

「利用者が最優先!」と声高らかにうたう割には、車椅子やセンサーマットなどの必要不可欠な物品の購入をケチる施設もあります。

また、一生懸命がんばっていても正当な評価をされず、いつまでたっても昇進や昇給が見込めないこともあるでしょう。

そういった施設のほとんどは、目先の利益だけを見て、利用者や職員を使い捨てだと考えています。

また、施設内において介護職と医療職の仲が悪いというのもよく聞く話です。

介護において多職種連携は当たり前のことなのに、まったく連携できていないという施設も見かけます。

施設に勤めていると、介護職員同士や利用者以外にもストレスの原因が存在します。

施設に対して悩んでいることがある場合は、リーダーや上司に問題提起をして、委員会やリーダー会議などで話し合ってもらいましょう。

もし、相談しても施設の改善が見込めない場合は、早めに見切りをつけて別の施設に転職することをおすすめします。

あなたがストレスで体調を悪くしてまで、その施設を良くする義理はありませんからね。

中には利用者ファーストで、職員同士が協力しながらがんばっている施設もあります。

ハズレ施設に当たってしまった経験を糧にして、次の良い施設探しに生かしてください。

介護職のストレス対策法

ストレスは万人の悩みだけあって、対策法もたくさん存在します。

中でも、アンガーマネジメントとして『6秒ルール』は有名ですね。

ストレスを感じたら、6秒待つと怒りが収まるというものです。

しかし、イライラしているときに6秒数えてると余計にイライラしそうなので、僕が実際によく使っている方法をご紹介します。

ストレスのコップ

あらかじめ断っておきますが『ストレスのコップ』は、僕が考えたオリジナルの方法です。

しかし、ただの精神論ではなく、いくつかの科学的根拠のある方法を組み合わせたものですので一定の効果が期待できます。

方法は以下のとおり。

  1. ストレスを感じたら、計量カップのように1〜10までの目盛りが付いたコップをイメージします。
  2. コップの中にストレスを注ぎ入れてください。
  3. 目盛りがいくつになったのか確認します。
  4. 7〜8程度になってしまったら、コップからストレスが溢れ返る前に、ザーッと川に流して捨ててしまいます。

案外、イメージも馬鹿にできません。

『ストレスのコップ』は、認知行動療法で使われる『マインドバス』と似たような考え方です。

『マインドバス』とは、自分がバスの運転手になったイメージで、バスに思考を乗せ、次のバス停で降ろしてしまうことで、自制心を高めるという方法です。

僕の場合は、思考をバスに乗せてやりすごすイメージがどうもしっくりこなかったので、コップに置き換えて水のように捨ててしまうことにしました。

また、コップに目盛りを付ければ『ストレスサーモメーター』としても同時に機能します。

『ストレスサーモメーター』は、心理カウンセリングでも使われるテクニックで、1〜10までの目盛りがある温度計をイメージして、ストレスを点数化するというもの。

ストレスを数値化するだけで、ストレス解消の効果があると言われています。

「今、コップの目盛りが6だから、全部は無理でもせめて3くらいになるまで捨てておこう」と、明確な数字があるとイメージしやすくなります。

そうこうしているうちに、気付けば6秒なんてとっくに過ぎているので冷静さも取り戻せます。

また『ストレスのコップ』の良いところは、コップを大きなものに交換できることです。

コップが大きくなれば、ちょっとやそっとのストレスでは溢れ返らなくなるので、介護職なら大きなコップがほしいところですね。

大きなコップは、学習や経験、価値観の変化などで手に入れることが可能です。

思考停止して毎日なんとなく仕事をしていると、いつまでたってもコップは大きくなりません。

僕は、数年前に比べると随分コップが大きくなったので、以前のようにメンタルをやられて体調を崩すようなことはなくなりました。

『ストレスのコップ』を実践すると、ストレスを俯瞰的に把握できるので、ストレスが溢れ返る前に早めの対処ができるようになりますよ。

手軽に応急処置で使えるストレス解消法から根本的なストレス対策まで、科学的根拠のある100のテクニックが紹介されています。

小難しいロジカルな話は控えめに、今すぐ簡単に実践できる方法もたくさん書かれていますので「とにかくすぐになんとかしたい!」という人にもおすすめです。

この本にも書かれていますが、たくさんのストレス解消法を知っているだけでストレス耐性がつくと言われていますので、ストレスの多い介護職なら必携の一冊ですね。

マインドフルネス

マインドフルネスmindfulness)は、現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程であり、瞑想およびその他の訓練を通じて発達させることができる。マインドフルネスの語義として、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」といった説明がなされることもある

引用:Wikipedia

マインドフルネスの状態は、主に瞑想を通じて体感できます。

瞑想と聞くと、うさんくさいと思う人もいるでしょう。

しかし、瞑想は科学的根拠のあるメンタルトレーニング法として知られており、Googleが社員研修に取り入れたり、かのスティーブ・ジョブズも実践していたといわれています。

日本国内でもアスリートをはじめ、瞑想に取り組む人が増えてきました。

瞑想によってマインドフルネスになることで、自分の健康や精神状態を正しく把握できるので「気付いたらメンタル病んでた!」なんてことにならなくても済みますよ。

日常的にストレスにさらされる介護職こそマインドフルネスが必要ではないでしょうか。

ヨガニドラー(ヨガニードラ)と呼ばれる、寝ながらできる瞑想があります。

しかも、眠くなったらそのまま寝てしまってもいいので、毎晩寝るときに実践できるので取り組みやすい瞑想です。

気持ちよく入眠できるし、睡眠の質も向上するのでおすすめですよ。

ヨガニドラーでは、筋弛緩法でリラックスしたあと、ガイダンスに従って体の各部位や呼吸に意識をめぐらせるボディスキャンを行います。

ボディスキャンは、体の各部位を意識することにより、心身状態の違和感に気付く瞑想です。

日常的にストレスに晒されていると、ストレスに気付きにくくなるとも言われています。

ストレスに気付けないと、ストレス対策もできません。

マインドフルネスで、早めにストレスに気付ける状態を維持しましょう。

ちなみに僕が実際に使っているのは『cocorus』というアプリです。

有料ですが、マインドフルネス系のアプリでは一番使い勝手が良かったので、毎晩利用しています。

介護職員がストレスで『やられない』ためには

僕自身がストレスで体調を崩した経験から得た教訓は、ストレスを放置しないということ。

ストレスを放置しないために考えたのが『ストレスのコップ理論』です。

あわせてマインドフルネスを実践することで、手遅れになる前にストレスを処理できるようになりました。

介護職は、一般的な仕事に比べてストレスの多い仕事です。

ストレスが当たり前になってしまうと、気付いたら手遅れになっていたという事態にもなりかねません。

バーンアウト(燃え尽き症候群)や、うつ病になってしまっては仕事もできなくなり、経済的にも辛くなってしまいます。

早めに対処するためには、早めに気付けることが大切です。

コップにストレスがいっぱい溜まってしまうと捨てるのも一苦労なので、コップの中のストレスが少ないうちにこまめに捨ててください。

仕事で体調を悪くしても、時間とお金を損するだけで何も良いことがありませんから。

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